教員紹介
小倉 鉄平 教授 (Professor Teppei OGURA)
1979年東京生まれ。小中高の10年間は神戸市で育つ。2002年東京大学工学部化学システム工学科卒業、2004年東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻修士課程修了、2007年同博士課程を経て博士(工学)取得。2007年~2009年:マサチューセッツ工科大学(米国)博士研究員、2009年~2011年:九州大学稲盛フロンティア研究センター特任助教、2011~2014年:九州大学水素エネルギー国際研究センター准教授。2014年4月より関西学院理工学部/理工学研究科、2020年4月より教授。趣味は読書、ライブ鑑賞。
研究室ホームページ
触媒計算化学
計算化学の力で“ものづくり”に貢献することを目的として、量子化学計算、詳細反応機構を用いた反応解析、流体反応連成シミュレーション等の計算化学的手法を駆使し、完全に理論だけに基づいて実スケールや実時間に対応した反応プロセスを再現する事に挑戦しています。具体的な研究対象としては、エネファームとして近年実用化されつつある燃料電池電極や、その燃料として注目されている水素の製造触媒における現象解明、理論的設計に取り組んでいます。
担当科目一覧
- 先進エネルギーナノ工学入門(学部1年前期)
- ものづくり理工学実験I・II(学部3年前・後期)
- 統計熱力学(学部3年前期)
- プロセス設計ナノ工学(学部3年後期)
- 先進エネルギーナノ工学詳論(学部4年前期分担)
KEYWORD
触媒設計、水素製造、燃料電池、密度汎関数法、反応モデリング
研究テーマ一覧
研究の背景
現実の世界で起きる現象は非常に複雑で、実験では細かい所まで観測する事が困難だったり、なぜそうなるのか理由がよく分からなかったりする事も多いのですが、分子の世界から見ると現象の本質が理解しやすくなります。量子化学の理論を用いる事で、原子や分子の動きや反応といった肉眼では見えない世界もコンピュータ上で再現する事ができます。そこで我々は量子化学計算ソフトウェアをツールとして使いながら、コンピュータを用いて分子レベルの観点から実際の現象に対する計算解析を行っています。ただし、分子の世界(10-10~10-8メートル)は非常に小さく、その世界でおこる運動の時間スケールもマイクロ秒(10-6秒)オーダーと非常に短いため、そこからメートル、秒といった現実スケールまでどうやって結ぶのかという所に課題が残っています。我々は統計論的に反応を扱う化学反応論と組み合わせることで、完全に理論だけに基づいて実際のスケールや時間に対応した反応プロセスを再現する事にも挑戦しています。特にあらゆる工業的プロセスで重要になる触媒反応(触媒とはある化学反応を早くするが自分自身は変化しないものの事で遷移金属などが一般的)を対象としていますが、実際に使われている触媒表面は分子レベルで見ると非常に複雑です。この複雑な触媒表面で起きている現象をきちんと理解することで、より性能や耐久性が高く安価な触媒を理論的に設計し、新産業の発展やエネルギー問題の解決に向け貢献していきたいと思っています。
教育目標
学科教育を通じて、エネルギーサイクルやシステム等の全体を見渡して効率や影響を考えることができる幅広い視野を持った人材を育てたいと思います。また研究では、計算化学を使いこなすことで、ブラックボックスではなく中身・原因を理解しながら“ものづくり”ができる技術者・研究者を社会に送り出していきます。
共同研究先一覧
九州大学、北海道大学、静岡大学、(国)産業総合研究所、ジャワハルラール・ネルー先端科学研究所(インド)、(株)ダッソー・システムズ・バイオビアなど。